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ものぐさにっき。

成分の99%は萌えで出来ております。
シアター!
家の周りに植えてあるつつじの花が、もう丁度満開だ!と思ってその内写真でも撮ろうかと思っていたのに、満開!今!を迎えてからたった二日でもう、白いつつじが茶色に変色して萎んできました。花の命は短いのねン…。
濃いピンクのつつじの方が衰えは判りづらいけれど、でもきっとすぐに散ってしまうんだろうな。ちゅーちゅー花の蜜を吸ってない。というか、大人になってからそんなこと一回もしてないな…。味はなんとなく、今でも覚えてる…。

さてさてさて、久々に、超久々に有川作品。この間スロウハイツを読んで読書できそうな波が来たので、続けて読破できました。
兄弟ものの作品が、と藤原さんが仰ってたのって、この作品でよかったでしたっけ?
以下、ネタバレ感想です。ネタバレ大丈夫な先生、どうぞお待たせしました(笑)!もうご自分で読まれたかもしれませんが…!
ワタシはあらすじすら知らずに「有川作品だから」という理由だけでもう本を手に取ってる人なんですが、今回のお話はなんとアマチュア小劇団のお話でちょっとびっくりしてしまいました。
デビュー以後暫くこそ、得意な自衛隊分野で活動を広げていったひとだけれど、そのあとは積極的に違うジャンルにも手を出してて、前向きな姿勢だなーと思います。勿論世に出すだけのクオリティを備えて作品にしてくるのだから、それも凄い。
しかしこの人の書き方のすごいところは、そのジャンルを知らない人や興味を持てない人であってもちゃんと読み込ませてくれるところです。植物図鑑のときもいったかもしれないけれど。たま~に説明臭い台詞回しもあるけれど、それでも判りやすく書いてくれるので明るくないジャンルでもおいていかれない。

今回のお話は貧乏劇団主催の弟と、いつまでも定職につかずに実にならないことをやっている弟にイラついているエリートサラリーマンの兄、といった図式がまずあって、舞台や演劇のことに関して素人の兄目線で描かれることが多いので、そういった意味でもごく自然と説明文が織り込まれていて、演劇を知らない人でも困ることはなく作品となっています。

そう、そしてキャラ。弟なんです、兄なんです。兄弟なんです。
ここ注目ポイントね。
世の中に兄弟が鉄板だという人のなんと多いことか…と思わず周りを振り返ってみたけれど、「とりあえず兄×弟よ永遠なれ」というミッコと、「兄弟というと、当然下克上の弟×兄です」と仰る藤原せんせーのお二人しか思い浮かばなかったので、実は狭い世界なのか(笑)。
さて、狙って書いたわけでもないでしょうが、今回のこのお話に限って言えば、兄×弟でも、弟×兄でも対応可でございましたよ。(結論の前倒し)

と、腐的な感想はまた後回しにするとして、まずは簡単なあらすじから。
子供の頃苛められっ子だった弟が、唯一自由に慣れたのが空想の世界。そんな世界を花開かせてくれるのが「他人を演じる」演劇であり、「物語を作り上げる」脚本でした。
内向的な世界から外の世界に飛び出させてくれたきっかけでもある児童演劇の世界。弟が明るくなったことを家族も、そして兄も当時は喜んだものですが、けれどそれが三十近い年齢になっても続いているとなれば話は別です。
大学生の頃の演劇仲間と学生サークルのノリで立ち上げた劇団。プロ意識がなく仲良しこよしの延長でやっているものだから、当然のように経営は赤字。皆、他のバイトで生計を立てつつ趣味で演劇をやっている、という様子でしたが、そんなある日、そんな小劇団を二分割にする事件が。
それは、新たな劇団員の入団が引き金でした。
新たな劇団員――それは、名前は知らなくても声は知っているようなプロの人気声優さん。彼女は演劇こそ子供の頃やっていた程度で声優の道に入りましたが、再び劇団で演技の勉強をしたい、ということで目をつけたこの小劇団に入団したのでした。
アマチュアの塊に、突然舞い込んだ、畑違いとはいえプロの存在が、それまでどこかなあなあの世界に甘んじていた彼らの意識を大きく変えてゆきますが、プロ意識を持とう、という一団と、これまでどおり学芸会の延長でもいいから楽しくやっていこうよ、という一団とで意見が別れ、小劇団は分裂。結局残ったのはたった10人の俳優たちでした。
しかも劇団が分裂した際に発覚した、小劇団の借金が300万。
それを即時返済しなければ、ということで、主催であり脚本家でもある弟が泣きついたのが、まっとうなサラリーマンをしている、頭の固い兄だった、というわけです。
子供の頃こそ歓迎した演劇ですが、弟がいつまでも定職にもつかずに演劇の世界に身を置いていることに不満を覚えていた(身内の心配も込みで)兄は、300万の借金を肩代わりしてやる代わりに、劇団員たちに一つの条件を突きつけます。
曰く、この先2年間の舞台公演の収入から、この300万を返済すること。出来なければ、劇団は解散すること。
プロ意識もなく収益なんかでないのが当たり前の小劇団の世界で、果たして彼らは300万という金額を稼ぎ出し、無事に劇団を存続することができるのでしょうか…?!

という話なのですが、その兄がひたすら甘いです。
いや、厳しい鬼のような取立て屋で、「俺が劇団の経営にはすべて目を通す。この先不明瞭な領収書は勿論、必要以上の経費は出ないものと心得よ」とばかりに、劇団の財布の紐を握りますが、そんな兄も別に劇団員たちが無為に金を垂れ流していただけじゃなく、小劇団の世界とは中々に経営が難しい、収益を上げることができるようなものではないと知ってゆきます。
でもさ、そもそもいい年した弟のために300万、ぽんと肩代わりしてくれる優しさも(だって返済なんてされないかもしれない)、普段から余ったチケットを買ってやる優しさも、厳しいことをいいつつも舞台がよくなるようにとアドバイスをしてやる優しさも、全部弟のためなんだよ。三十過ぎてどんだけブラコンなんだ。
その上劇団の経営に関わるようになったのちは、もっと全面的にバックアップをしてやるのだから、「この機会にいつまでも売れない劇団の世界ではなく、まっとうな定職につかせよう」という当初の建前なんてあっという間に瓦解したも同然のようなもので、それは彼自身が己に突っ込んだりもしています。
でもまあ、家族だもんねえ。「こうしたほうがまっとうな人生だ」と兄が理想とする道を、けれど弟が同じように受け入れて進むかどうかは操れるものではなく、そしてだからといって間違ってると決め付けて見捨てられるわけでもない。うーん、奥深い、兄弟関係。

なのに、この物語の最後まで「兄をハラハラさせる弟はけれどその愛情にいまいち気付いていない」という図式が揺るぐことがないのが、そう、ヒロイン的存在があるからです。
…うん、忘れてはいけないけれど、有川作品て概ねノマカプ恋愛が含まれるんだ…。この人、恋愛小説家のくくりなんだ…。
今回のヒロインは人気声優の彼女。
弟は無意識に声優の彼女に惹かれていて、けれど声優の彼女はお兄さんとばっかり気安く喋れて、そんなお兄さんは…?みたいな。
有川作品の男性の特徴として、お兄さんは声優の仄かな気持ちに気付いてて…というパターンと、全然気付いていないにぶちん、という2パターンが考えられるのですが、残念ながら、今回の小説では関係がそこまで発展する前に終わってしまいました。
兄弟を挟んでの三角関係に発展する可能性もあり、けれど本当にただ純粋に劇団員同士としての話で終わる可能性もあり、みたいな。
なんでそんな曖昧なことになっているかというと、この小説自体が「期限は二年!返済額は300万!」と一章で打ち出しておきながら、エンドマークがついた時点で、まだほんの半年程度、返済額3万円、という形で終わっているからです。
そう、初め目を疑っちゃった。四冊連載の一冊目なのかとさえ思っちゃった。(図書館~みたく)終章終わってもまだページ数が結構残ってたから、あれ?あとがきのあとになんか結末的な挿入話が用意されている変則的な作りなのかな、とも思ったのに、解説と広告が入って本当に終わってしまった…。

結局劇団員たちに活を入れて姿勢が変わった、ということで纏めてそこを着地点としているので、その先の決着が不透明な形になっています。なので一冊の小説としては評価がしにくい…。気持ち的な問題であればちゃんと区切りがついているんだけれど、何せキャラクターが個性豊かだから、その一人一人に物語や抱えている問題がありそうながらも、それらに深く立ち入ることなく流している…と受け取れてしまいそうな…。うーん。今までとそういう意味でもちょっと作風が違う?どうなのかなぁ。初めはどうしてこの収入で赤字がこんなに増えたんだ?と疑問に思った兄が過去の帳簿をひっくり返す展開もあったから、もしかして過去何か不正清算が行われていたんじゃ…?!というサスペンスも予期したのだけれど、結局そこもスルーされて終わっちゃったし、伏線になったかもしれない設定を、結局伏線として使わずに流した、という印象が多々あったのが、この作品の印象も変えてしまったのかもしれません。

これ兄弟物でなければ声優の彼女との普通の恋愛話が垣間見えたりする辺りも楽しめるのかもしれませんが、ほらね、兄弟属性の人にはね、もう兄弟という言葉が出た時点で世界の中心が兄弟にロックオンしちゃうからさ(笑)。
口うるさい鬼のような、けれどその実心配性の兄と、奔放で甘やかされて悪気なく育った、けれど確たる才能だけは持ってた末っ子的弟。弟×兄でもいいし、兄×弟でもいいでしょ(笑)?
でもこの題材で続きがあっても中だるみしてしまいそうなので、これはこれで一冊完結で丁度いい内容なのかもしれません。
カラー口絵が登場人物紹介にもなってるのですが、今回登場人物が多いのでこれがあって助かった。何度も捲り返りながら読みましたもん(笑)。イラストが入ってる小説も、キャラのイメージがしやすくて、たまにはいいなぁ。
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