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ものぐさにっき。

成分の99%は萌えで出来ております。
メジャースプーン=計量器具
この間T姉に今DRRRが今年人気出てきてるよーみたいな話をしてるときに、どんな話?と聞かれて、実際ワタシも原作読んでないし深夜アニメも2~3回ちょうどよかったときに目にしただけなので、内容をちゃんと把握していないのですが、とりあえず首なしデュラハンていう妖精が出てきてね…自分の首を捜しててね…、それと主人公が別にいてね、冴えない平凡な高校生でね…と適当極まりない説明をしたときに、同じ説明を聞いたミッコはデュラハンが女で主人公が高校生の男の子と聞いた時点で「台無しだ」といい、T姉は情報屋とバーテンダーが不仲だと聞いた時点で主人公サイドへのうろ覚えな説明の興味は失った模様でした。
うん…興味の対象って人それぞれだよね…。
出てくるキャラはラノベそのものなのに、何故かあらすじの説明がしにくいDRRR…というか原作も読んでないのにしようがないだろう、自分(笑)。おりはらくんが外科医と同じ声優さんのようなので、もっと喋ってくれないかなぁといつも思ってます。外科医の声で(無理だろ)。
先週は首なし妖精(女)に杏里ちゃんが恋に落ちたよ。応援するよ。

という前置きとは何にも関係ない、辻村作品他のを読んだのでその感想でーす。
今度こそ、お勧めされたメジャースプーンを(笑)。
作者の名前だけで本を選んじゃうといつもそうなのだけれど、裏のあらすじすら読まずに本編に入るものだから、物語の中盤まで一体この小説はどんなジャンル(ミステリだったり恋愛だったり)なのかさえ判らずに読んでることが多々あります。
表紙裏のあらすじって結構大切だよね。一見さんだったらそのあらすじをざっとみて自分の興味が湧くか否かで本を買う人も多いだろうし、実際に読み始める前も「これはこういう世界観でこういうジャンルの話なんだ」っていう心構えが出来るから物語に入り込みやすい。先入観を上手に利用して内容への理解を深める。何気に奥深い、あらすじ解説。
だって高校生たちが登場して始まった話しで恋愛物かなーと思いつつ読んでていきなり宇宙空間の話が始まったら、頭の切り替えも大変ですよね。事前の心構えって大切。

だのに、この小説においてもワタシ、そんな曖昧な感じで読み始めた読者そのままでした。あれえ?学習しない。というわけで小学生が出てきてあからさまに回想から始まるにも関わらず、「事件が起きて誰が傷つく話」ということさえ念頭になかったので(裏表紙のあらすじにそこまでしっかり書いてあったのに)事件が起きてびっくりしてしまったわけです。うん。まあそういサプライズもアリだよね…。(うにょうにょ)

あらすじ。
小学生の主人公と、彼と小さなころから仲良しのご近所さん、ふみちゃん。ピアノの得意なふみちゃんは、うさぎさんが大好き。学校で飼育しているうさぎの当番はクラスの持ち回りだけれど、当番の子が餌やりを忘れた日でも、ふみちゃんは誰にもいいつけることなく自主的にうさぎの世話をしてあげてます。
何でも知ってる賢いふみちゃん。けして可愛いといわれる容姿ではないし、分厚いめがねと歯の矯正器具がそれを増長させているけれど、でも心優しくて頼もしいふみちゃん。
そんなふみちゃんに、恋心とさえ呼べない淡い好意を寄せている主人公。二人の世界は子供らしいサプライズと小さな憤りとすべてが消えてしまう穏やかさに満たされて、平和に過ぎてゆきます。
そんなある日、心無い大人が学校に侵入し、皆で飼育していたうさぎを殺してしまいました。第一発見者はいつもうさぎの世話のために早めに学校に来ていたふみちゃん。四肢を切り取られぼろぼろのパーツになって、それでもまだ辛うじて生きていたうさぎを抱えふみちゃんは職員室に駆け込みますが、可哀相なうさぎはふみちゃんの腕の中で震えながら死んでしまいました。
そしてうさぎが死んだその日、ふみちゃんの心も「お休み」に入ってしまいます。

うさぎをバラバラ死体にしたのは、裕福な親を持ち医学部に通う大学生。バイトをする必要なくなんでも親に与えてもらって育った彼はネットの掲示板で自分の犯行を面白おかしく披露し捕まると、誰が生きてても死んでてもどうでもいい、大切なものなんて何もないしすべてが馬鹿馬鹿しい、と虚無を語ります。
うさぎを殺した彼の犯行は猟奇的と言われて暫くはニュースでも取り上げられますが、彼に下った罪状は「器物破損」でしかも執行猶予がつき、実際に何が起きたかというと大学を退学になったことくらい。世間を騒がせたのも一瞬で、大きなニュースが入れば皆はそちらに気をとられ、小さな町の小さな小学校で起きた事件などあっという間に風化してしまうでしょう。

小学生の主人公にはそれが理解できません。
犯人は今日も笑ってる、反省なんてしてない、刑務所に入るわけでもない。
なのにうさぎは死んでしまって、ふみちゃんの心は壊れてしまい、自分たちの声を聞くことも出来なければ話すこともできなくなってしまった。
犯人は大学を退学させられても別の医学部に編入するのに、どうしてふみちゃんは運動会に参加できないどころか、学校にさえこれなくなってしまったの?
「僕」は納得できない。出来ないから、考える。僕には力がある。子供の頃一度使ってお母さんと二度と使わないと約束をした日から封印をしてきたけれど、僕には「魔法」が使えるのだから――。

小学生の「僕」の視点で語られる、一つの犯罪とそれに対する心の決着の行方を描いたお話です。

視点が終始主人公の「僕」視点なので、すごく世界は穏やかに緩やかに綺麗なものばかりかと思いきや、中盤からこんな悲しい展開になるとは。ふみちゃんはほんとに心の優しいいい子でねえ…。事件以降心の壊れてしまったふみちゃんとの回想シーンやなにやらが出てくるたびに、泣けて泣けて仕方なかったというか、なんかクライマックスでもなんでもない普通のシーンで常に悲しみが込み上げてくる状態のまま読み続けた一冊でした。
ちょっと突飛なのが主人公が魔法の使える一族だってうことかな。誰でも使えるわけじゃなくて、隔世遺伝みたいに、一族の中にぽつぽつと力の使える人が出現するというだけ。その魔法というのは「言葉の力」で、例えば主人公が「テストでいい点を取りなさい。じゃないと、すごくお母さんに叱られる」と相手に告げると、相手はその暗示にかかり、実際にお母さんに本当に怒られてしまうような強迫観念に駆られ、何が何でもテストで合格点を取ろうと必死にあれやこれやをするわけです。(その方法は勉強を頑張るんだったり、テストの解答用紙を職員室に盗みに入るんだったり、言葉で制約を設けない限りは相手の判断に委ねられるようですが)
主人公は今回の事件が起きてなんとかこの魔法の力でふみちゃんを救えないものかと色々と考えますが、今のふみちゃんには言葉は届かないし、届いたところでどんな言葉を使って魔法をかければいいのかも判りません。
ならば、せめてふみちゃんを傷つけた犯人に対してこの力を使えないものだろうか。
主人公はそうして一族の中で同じ力を持つ唯一の親戚に相談し、その親戚の大学教授は「自分はこの事件に立ち入ることは一切しないが、その代わり、君のこの力の有効な使い方を教え、どう使ってゆくべきか一緒に考えよう」と申し出ます。
というわけで、物語の大半はこの二人の力の使い方に纏わる話と、今回の事件に対する考え方の話で綴られてゆきます。この小学生の主人公はものすごく賢い。ほぼ無罪みたいに扱われる犯人に対してのやるせなさをただただ無力な法律への怒りという形では発散しません。一番判りやすい「おまわりさんが悪い人を捕まえてくれないのが、悪い」という考え方は安易だけれど誰の頭の中にも描かれる図式で、けれどそこから一歩踏み込んで「じゃあ何が悪いのか」と考えられる小学生なんて、そうそういないよね…。すごいぞ、すごい…。
あとこれは更に凄いことに、主人公の僕視点で綴られた話ながら、そこまで露悪的な犯人への悪意は明確には描かれていなくて、ふみちゃんがこんなことになってしまったのが悲しい、僕には何が出来るだろう、と考えることをメインにもってきているように見えて、けれどその反面、この物語のクライマックスで主人公はしっかりと最大限の復讐を考えていたのです。むろんそこは「小学生でちょっと不思議な魔法が使える男の子」発想による「最大限」の復讐だったのですが。
大体が親戚との会話が多いから、要するにこの子はこの復讐を思いついた時点で親戚に対して己の本心を隠しつつ、けれど必要な情報を引き出していったわけだよな、天然か作為かはともかく、と考えてしまうと、二度目に読むときの目線も変わるというものです。
物語の中で主人公がふみちゃんに対して子供の頃から淡い恋心(にも育ってないような好意)を寄せていることが端々で触れられているので、主人公は好きな女の子のためにこれだけ復讐を思いついたんだ、と思わせておきながら、実はそれは恋心以上に主人公の免罪符だったのだよ、というのも忘れずにちゃんと二重伏線になってるあたりも好み、好み。
そもそもうさぎが殺された日のうさぎ当番が実は主人公で、風邪をひいた主人公がふみちゃんに当番を代わって欲しいとお願いしたために、第一発見者になったふみちゃんの心が壊れてしまった、という罪悪感が、芽吹くはずだった恋心を黒く塗りつぶしてしまったにもかかわらず、最後のほうで「それでも僕はふみちゃんが好きだ」と考える主人公のなんともいえない心境に、小学生の恋愛(未満)なのに微笑ましくて温かい気持ちで応援したくなります。(ちゃんとお伝えできてるかしら、このもどかしい感じが!)
因みにそんな彼が選んだ復讐方法とは、犯人に向かって「僕の首を絞めろ。そうしなければ、お前は医学部に戻れない」と魔法をかけたこと、というのも、なんて頭のいい小学生なんだろうとは思います。
犯人が減刑のために口先だけで「反省してます、勉強に疲れててやってしまいました」と言っているのでなければ、絞殺はされない。けれど、反省しててもこの魔法の暗示のせいで医学部には復学できなくなるし、そうでないのなら主人公を絞殺して今度こそうさぎのように「器物破損」ではなく「殺人罪」で有罪となる。それでふみちゃんを傷つけた犯人は今度こそ捕まって相応の罰を受けることになる。
自分の命を賭けた、けれどこれは前述の理由で勇気でもなんでもなく、彼にとっても「ふみちゃんへの償い」だったわけです。二重の言葉の暗示だ。うーん、よく考え付いたな…!

ラストは結局親戚や主人公の魔法の言葉を使うことなく、ふみちゃんはちゃんと自分と周りの人の努力の力で少しずつ回復へと向かってゆくのでハッピーエンドですが、それにしても取り上げられている題材はとてもシビアというか、現代社会で本当に目にする事件で本当にいるかもしれない「同じように傷ついた人たち」が描かれています。
今回主人公は魔法の力もつかってハッピーエンドを勝ち取ったけれど、現実にはそうそうそんな奇跡は起きず、だからこそこの世界には犯罪によってある日突然大切な人(物)を奪われて心無い暴力の被害者となる人たちが残される、ということを暗に浮き彫りにしています。

一作目が面白かったから読み始めた二冊目だけれど、二冊目がこの本でよかった!
三冊目を読む手が前向きになります(笑)。
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