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ものぐさにっき。

成分の99%は萌えで出来ております。
チキタ・グーグーがいかに素晴らしいかを語る日。
ワタシが好きな作家さんの一人にTONOさんて方がいらっしゃいます。(同人作家としてのほうが有名…なんだろうか…)昔からこの人の書く漫画のセンスが大好き…(絵も特徴があって可愛い…)。この方の商業誌は大体持っているのですが、その中で一つだけ読まずにいたものがありました。それがチキタ。
別に何が嫌だったわけでもなく(笑)なんとなく読み逃していただけなのですが、それが気がつけば五巻?くらいまで出ている。おおお、おおおおお。なんてこと…!この方の漫画は実は長編のが圧倒的に面白いのです。それは長編のほうが活きる物語の設定や人物相関や深みが多いから…。
というわけで、俄然読む気になったチキタ。一気に五巻まで読破です。

以下、折りたたみ収納でネタバレ感想(またいつもどおり無駄に長いです)なのですが、その前にあらすじだけ。

主人公のチキタは赤ちゃんの頃に両親祖父祖母を人食いの妖怪に殺されてしまいました。その後、親戚の家で育てられた彼が少年に成長し実家に戻ると、そこには見知らぬ人間がひとり。名前はラー。ラーは女性だったり男性だったり少年だったり蛇だったりクマだったり定形外生物だったりさまざまな姿に変身できる妖怪で、両親たちを殺した人食いの妖怪でした。
ラーは言います。「お前で”百年”を始める」と。
”百年”とは、ものすごく稀に生まれる、「妖怪ですらたべられないくらいまずい・毒になる人間を百年丹精こめて飼育することで、この世のものとは思えないほど甘美な食材にすることができる」という妖怪の中の通説のこと。人食い妖怪の上級遊び。チキタはこの「稀な人間」だったため、赤ちゃんの頃妖怪に食べられずに済んだのでした。
まずい人間を美味しく育てるには、体調管理は勿論のこと、心のケアも重要です。だから、ラーはせっせとチキタのために美味しいものを用意して暮らしやすい環境のために家事をし、チキタが楽しく暮らせるように笑いを届け、チキタを傷つけるすべてのものから守ってやろうとします。
初めは人食いの妖怪なんかと暮らせるか、とチキタは逃げ出したりしようとするのですが、ラーの目的が”百年”であることを知り、実際に他の妖怪から守ってくれることを知ると、あっさり受け入れてしまいました。
「覚えてもいない両親の敵なんて知るか、妖怪は馬鹿だから人間が百年も生きないことを知らない。よしんば生きたとしても、百年後なんてどうせ寿命なんだし、老衰で死のうがこの妖怪に食べられようが一緒だ。それなら百年間は守って育てて家族になってくれる妖怪と共に暮らして何が悪い」
幼い頃から親のいなかったチキタは孤独でした。
そんなわけで、孤独なチキタと自分が愛情かけて育てた餌を百年後に食べることを目的にしたラーの二人の”百年”が始まったのでした…。

いやこれ、BLとか少女漫画だったら、「結局食べれずにラブって終わるんでしょ!」とか簡単にラストが見えるのですが、そこはTONOさんなので、そんな単純なお話ではございません(悦)。
ワタシ、これを見るまでTONOさんの漫画で一番好きなのがカルバニアだったのですが、読み終わった後の衝撃といったら、それを凌駕する勢いですよ…。びっくりびっくり…。
ラーは”生まれたての子供みたい”なんですって。
何百年生きていても(いやまだラー出生の秘密をやってないからわからないけど)、だからいくら”お気に入り”の人間であろうとも、死ねばもう遊べないってことを知らない。だから「俺が死んだら食べていいよ」って言ってくれた初めての女の子が殺されたときに、それがどういうことか理解できなくて苦しんだんだなあ…。でも確かに、可愛がって育てた家畜を、さあ育ったから殺して出荷しようね食べようねって時に何か感じろといわれても、牧場経営してる人じゃそれが仕事だし、人間はそうやって動物の肉を食べる生き物だし、あんまり何かを感じることは難しいかもしれない…。人食いの妖怪にとってまさにそれが人間。育ててるのは家畜だし、その辺歩いてる無防備な餌を狩猟して夕食に食べて何が悪いのってカンジなのでしょう。(その辺の描写はガンガンされてます。人間も無残なくらいあっさり殺されます。絵柄が可愛いからシュールだわ…でもその甘えのなさがまた大好き…!)
で、チキタは聡い子供だから、そういう意識の違いを割りとクールに受け止めています。まあそういうもんだよね、みたいな。
おお、割り切った子供だこと、と思っていたのに、五巻の王様の不老不死事件で、ラーが恐る恐る「もしかしてお前、俺が両親を殺したことを許してないのか?」と聞いたときに、あの子はあっさり「うん。ずっとずっと許さない」とか言っちゃって、ひえええええ!ってカンジですよ…!なんたること…!
だってチキタはラーが帰ってこなければ心配するし、ラーが用意したご飯を食べて危険なときにはラーの名前を呼んで、寒い夜は暖かい獣に変身してもらったラーとぬくぬく添い寝したりしてたんですよ…!おおお…!ラブラブラブライフだったんですよ…!おおおおお…!
で、ラーはひどいひどいとしくしく泣くわけだけれど、でもそれも愛憎なんだってラーが気付ける日はくるのでしょうか…。ひとを一生憎むのって、実はすごいエネルギーが必要なことなんだと思うのです。勿論両親を殺した敵ですからね、いくら年月が経過しても忘れることは出来ないでしょうが、それも60年80年生きてる間、ずっと心にとめて憎い憎い憎いと思いつつ生きることなんて、執着と紙一重なのですよ。さらに、チキタは「ずっとずっと許さない。だからもうこんなことをしないように一生目を離さない」とまで言ってるわけですよ。(いや、言ったのはクリップのことだけど…)悪いことをした相手と一生一緒にいる。それはもう愛情なんじゃないかな…。

ラーはまた、チキタと”百年”を始めるために一緒に暮らし始めてから人間を殆ど食べてません。それはチキタと一緒にいるとお腹がや心があったかくなって、飢えを感じなくなったからなんですって。わあ…!もう答えはでてるじゃない…!
でも、二人はきっと”百年”を迎えられないんじゃないかと思う…のですが…。チキタはラーが”百年”を初めて育ててから成長がストップしてしまいましたので、多分百年でも二百年でも生きることができるんだと思います。だから、多分消えるのはラーのほうかな…。どうかな…チキタが”百年”を拒否って死ぬことで、ラーに教えられるものもあるという手もあるけれど、ラー出生の秘密とかが関わってきたら、消えるのはラーのほうのような…うん。

とまあ、ラーとチキタのことは一旦置いといて。
物語には他にも素敵なキャラが一杯出てきます。クリップとオルグはまさに、その”百年”をやりきって、結局食べることができなくなった妖怪&人間カプー。オルグは百年育てたクリップどころか、人間全部を食べれなくなってしまいます。それは、すべての人間の中に可愛がって育てたクリップの面影が見えるようになってしまったから。髪の毛が似てるとか性別が一緒とか、もう多分指が五本あって二足歩行するとかいうレベルでまで、すべての人間がクリップに似て見えて仕方なかったんだろうなあ。
というわけで、クリップを食べることは勿論、人間を食べることさえできなくなり飢え死にしかけたオルグ。でもクリップはそんなことは許せなかったのです。クリップは迫害された子供なので同族である人間にたいする愛情なんて初めから一ミリもないし、孤独を埋めるように自分を育ててくれたオルグのためなら人類が滅んだって構わないとも思っている。(で、実際に人間を大量虐殺してチキタに怒られるわけですが)
そんなクリップだから、ラーには「チキタをちゃんと食べてやれよ」と言うのです…。せつない…。

さらに、輪をかけて切なかったのが、クマ!シャラボンヌ?だっけ?(だっけって)
サーカスで生まれてサーカスで育ったシャラたんはサーカスの人気者でした。けれど、人間はすぐに同じ芸にあきます。人気のなくなったシャラたんに、生き物の体には毒になるペンキのペイントで水玉模様を書いて、水玉クマとして売り出しますが、それも大した効果はなく、結局日に日に体の弱っていくシャラたんを人間たちはゴミ捨て場に捨ててしまいます。
そして死んでも死に切れなかったシャラたんは妖怪になってしまい、永い時間をひとりで彷徨います。
人間に追われたり殺されたりを繰り返していたシャラたんが、ある日善良な老夫婦と出会い、また人間と家族のように三人で暮らし始めます。周りの人が化け物だといっても、老夫婦は喋るし家事も手伝ってくれるし芸もしてくれるし、いいこなのよと笑ってシャラたんを受け入れてくれる。
しかし、ある日突然老夫婦は揃って倒れてしまいました。老夫婦を元気にするために薬を探しにでるシャラたん。薬を見つけて帰ったシャラたんを待っていたのは老夫婦の訃報でした。人間に責められ、矢を射られるシャラたん。妖怪だから別に死にません。老夫婦が死んだのは、シャラたんの体に塗られたペンキの毒素が原因でした。ラーは、別に人間が塗った毒で人間が死ぬんだから自業自得じゃんと笑って慰めるのですが、シャラたんは「じゃあもういいや」といいます。
老夫婦が死んだように、自分が今後どれだけまた人間を好きになってその人間に受け入れてもらえたとしても、また、人間以外の生物だとしても、自分と言う存在と一緒にいる限り相手が常に死に続けるのなら、もう自分の存在はなくて「いい」。そう一言言って、シャラたんは空気に溶けて消えたのでした。

…ううう、なにその可哀相な御伽噺…!(御伽噺じゃないから)きゅん…!

ていうか、感想文じゃなくて紹介文みたいになってま す よ …!ワオ…!ま、まあ、チキタグーグーはこんなふうに切ないお話(シャンシャン一族のこととかね!)が一杯詰まった漫画なのです…切ないだけじゃなくて可愛いところもあるんだけど、シュールさ前提の可愛さともいえる…。
因みに、人間の悪いところが一杯描かれている漫画でもあるのですが、それはわざと露悪的に描かれているわけではなく、「ああ、人間てそんなものだよね」と納得できたり共感できたりする”悪”なのです。それに対してチキタや妖怪たちがクールに見捨てたりしていても、それは自業自得以外の何者でもない…。
描き方の上手さはこの漫画家さんの力量ですよね。すごいなあ…。

とりあえず、もう読み終わったら衝撃でした。多分、この広い世界で同じようなテーマを描いていらっしゃる作家さんが他にもいらっしゃるかもしれないので、ワタシがこの漫画がこのテーマで一番すばらしい!と感動しても、それは読み手さんの受け取り方次第なのだと思います。ただ、この感性がワタシにジャストミートなんですよ…。素敵…素敵…。
そんなわけでうっとりと続きを待つ次第でございます…完結まで全部描ききってもらいたいな…楽しみ楽しみ…。
Comment
≪この記事へのコメント≫
ニッケルが大好きでした。
タカヤマさんもチキタ・グーグーがお好きなんですね!
私もこれ、カルバニア物語と同じぐらい好きです。
(5巻ってどこまでネタバレ大丈夫なんだろう・・。)
この作者さんってあの簡素な絵柄にだまされがちですが実はカルバニア以上にヘビーな題材突っ込みまくりですよね・・・。(輪○やらカニバリズムやら)
重たいネタを振ってもその後にくる救済や癒しの描き方が大好きです。
2007/06/27(水) 22:42:15 | URL | Tがや #mw2.PuPE[ 編集]
同志~!!!!
ワタシもそういうところが大好きです~!作者さんの表現力すごい!とただただ感嘆するばかりです。
ニッケルはまさか死んでしまうとは思いませんでした…(そういう思い切ったところも好き…!)
因みに5巻は王様のお話が終わってクリップが戻ってきたところです。ご両親が出てきて、「次はクリップの中にチキタを見つけなさい」とか夢の中でパーティーを開いてくれたところです。
続きが!続きが楽しみで…!
2007/06/28(木) 08:32:02 | URL | タカヤマ #-[ 編集]
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